1.購入時にかかる税金 「購入時に一度だけ課税されるもの」
中でも大きな割合を占めるのが「税金」です。
■ 不動産取得税
不動産を購入した際に一度だけかかる地方税です。
原則として土地と建物の評価額に応じて課税されます。
税率は4%ですが、一定の要件を満たすと軽減措置が受けられます。
特に居住用の住宅には優遇措置があり、新築や築浅物件の購入時には評価額から一定額が控除されるケースが多いです。
■ 登録免許税
登記(所有権の移転登記や抵当権の設定登記)を行う際に必要な税金です。
税率は登記の種類によって異なり、所有権移転登記は原則2.0%(軽減措置あり)です。
住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記にも課税されます。
■ 印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙にかかる税金です。
契約金額に応じて税額が異なり、たとえば1,000万円超~5,000万円以下の物件では(軽減措置適用で)1万円、5,000万円超~1億円以下の物件では(軽減措置適用で)3万円となります。
なお、印紙を貼らないと契約書が無効になるわけではありませんが、税務調査で追徴されるリスクがあります。
2.所有中にかかる税金 「所有している間課税されるもの」
■ 固定資産税
土地や建物といった固定資産に対して毎年課税される地方税です。
市区町村が算定した「固定資産税評価額」に基づいて税額が決まり、原則1.4%の税率で課税されます。
ただし、新築住宅や小規模住宅用地には軽減措置があります(新築住宅では一定期間、建物部分の税額が半額になるなど)。
■ 都市計画税
市街化区域にある土地や建物に対して課税される税金で、税率は最大0.3%。
基本的には固定資産税と合わせて課税され、納付書が郵送されてきます。
固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。
支払いは4期分割が基本ですが、一括納付も可能です。
資金計画の際には、年間の税額も見込んでおくことが重要です。
売却時・相続時にかかる税金 「資産移転にも課税される」
不動産を手放す際や、家族に引き継ぐ際にも税金は発生します。
特に売却益がある場合や、相続による取得には注意が必要です。
■ 譲渡所得税(売却時)
不動産を売却して得た利益(譲渡所得)には、所得税と住民税が課税されます。
利益=売却価格-取得費-譲渡費用で算出され、所有期間によって税率が異なります。
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短期譲渡(5年以下):約39%(所得税30%+住民税9%)
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長期譲渡(5年超):約20%(所得税15%+住民税5%)
自宅の場合、「3,000万円の特別控除」や「10年以上所有での軽減税率」などの特例がありますので、事前の確認が必須です。
■ 相続税・贈与税
不動産を相続や贈与で受け取った場合にも課税される可能性があります。
相続税は遺産全体の評価額に対して課税され、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると課税対象になります。
贈与税は、贈与された額が年間110万円を超える場合に発生します。
不動産の評価額は「路線価」や「固定資産税評価額」を基に算定されるため、市場価格とは異なる点も注意が必要です。
まとめ
不動産の購入・保有・売却や相続には、多くの税金が関係してきます。
税金を把握しておくことで、予算オーバーや資金ショートといったリスクを防ぐことができます。
また、特例や軽減措置を活用することで、負担を軽減できる可能性もあるため、専門家への相談も視野に入れて計画を立てると安心です。