
みなさん、初めまして。社長室の矢島です。
こちらはKADOKAWAが刊行している月刊誌『ハルタ』で連載されていたラブコメディです。
日々の生活に疲れきった主人公:環(たまき)が、
有名画家・石原春水に声をかけられヌード(!)モデルをさせられることから物語は始まります。
人物から背景、心象風景の見事な描写が、
美術教育を着実に踏んだであろう著者の腕力を思わせます。
特に背景と心象風景の筆致が見事すぎて、
「著者さんは人物を描くのが一番好きってわけではなさそう」と思ったほどです。
とても勝手な個人の解釈なのですが。
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さて、こちらの作品を読み始めたきっかけは、
友人が私の様子を見て、勧めてくれたことにあります。
誰しも、
死にかけの心電図のような感情の起伏のない毎日を持て余すときがあると思います。
自分が何が好きで、何が楽しくて、何が欲しいのかを忘れてしまう。
感情の麻痺。アウトプットするものがなくなっていく。
わたしは作家業をすることがあるにも関わらず、
昨今そのような状態になっていたんですね。
しかしある日、とても素敵な友人との出会いをきっかけに、
それまで停滞していた執筆がすいすいと進みはじめました。
心の躍動の力というのは素晴らしいものです。
『金曜日はアトリエで』の画家・春水は、
環というミューズ / ファムファタールに出会い、インスピレーションがおりてきた。
そんな春水と私との様子が重なって見えた友人は、
「出会いって素晴らしいね」と言って、私に同作品を勧めてくれたのでした。
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石原春水は、最終的に恋する女性に対して、迷うことなくヌードモデルを頼みます。
頭がおかしいですね。
けれど、それがアーティストなのでしょう。
アーティストとは自分という魔物と取っ組み合うことをお仕事としている人々です。
才能は大きいほど扱いづらく、繊細であるほど奥深く、危険で、それはそれはキツいものでしょう。
けれど、
春水の不器用な奮闘や、繊細さ、それゆえの美しさを眺めていると
それはやっぱり宝物なのだと感じます。
そして、自分という魔物と取っ組み合う春水を愛し、
応援する環の様子は、私に希望を見せてくれたのでした。
こんなに扱いづらい自分を、難なく愛せる人はいるのだと。