不動産の売却時には、売却代金の受領だけでなく支払う費用もありますので、ここで確認しておきましょう。
ご売却時に必ず掛かる費用からご紹介します。
費用の項目 |
費用の目安 |
支払い時期 |
仲介手数料 |
売却価格 × 3% + 6万円(税別) |
決済時 |
印紙税 |
売却価格によって1~3万円 |
売買契約時 |
抵当権抹消費用 |
司法書士報酬を含めて2~3万円 |
決済時 |
住宅ローン完済手数料 |
金融機関によって1~5万円 |
決済時 |
1.仲介手数料
不動産売却を仲介した不動産会社に支払う報酬です。
400万円以上の価格で売却が決まった場合は、「売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税」が仲介手数料の上限となります。
例:2000万円で売却ができた場合は、2000万円 × 3% + 6万円 = 66万円 + 消費税 となります。
2.印紙税
印紙税は法的効力を持つ契約書などに印紙を貼付して納税する収入印紙のことです。
不動産は金額が大きいため印紙税も高額になります。
契約金額 |
本則税率 |
軽減税率 |
1000万円超 - 5000万円以下 |
1万円 |
5000円 |
5000万円超 - 1憶円以下 |
2万円 |
1万円 |
1憶円超 - 5億円以下 |
6万円 |
3万円 |
なお、不動産の譲渡に関する契約書に係る印紙税には軽減税率が設定されており、令和9年3月31日までに作成される契約書には上記表の「軽減税率」が適用となります。
この印紙税は契約書一通ごとに課税されますので、売主買主それぞれ一通ずつ作成する場合には二通分の印紙税がかかります。
3.抵当権抹消費用
「抵当権」とは住宅ローンを借り入れている金融機関が該当不動産に設定する担保権です。
売却をする不動産に住宅ローンが残っていた場合は、ローンの残債を精算してから「抵当権抹消」の手続きをする必要があり、費用が発生します。
売却時にローン完済している不動産であっても、抵当権抹消手続きをしていなければ、抵当権がついたままですので、抹消手続きが必要です。
これらの計算と手続きを司法書士に依頼する場合は、その報酬も発生します。
報酬金額は売却した不動産・契約内容・依頼をした司法書士によってケースバイケースです。
4.住宅ローン完済手数料
住宅ローンを完済する際には、ローンを借り入れている金融機関に事務手数料、もしくは一括返済手数料が発生することがあります。
手数料は金融機関によって違いがありますが、インターネットで手続きをすると無料になるケースがありますので、借り入れている金融機関に確認して、無駄に費用が発生しないよう気を付けてください。
次に、売主様のご意向や売却の状況によっては必要となる費用です。
1.インスペクション費用
「インスペクション」とは住宅診断のことです。
インスペクションは売却に際して必ず行わなければならないわけではありません。
しかし2018年4月の法改正により、不動産会社に対して売主様・買主様へのインスペクションの説明が義務化されたことで、実施数は増加傾向にあります。
ご売却前に実施いただくことで、不動産に「安心」を不可することができ、付加価値を付けて販売することができます。
費用は物件種類や広さ、業者によって異なりますが、5~20万円ほどです。
2.測量費
戸建てや土地のなかには隣地との境界線が曖昧なものがあります。
法的には境界が曖昧なままでも売買は可能ですが、買主様の購入後のトラブルの原因となり得ますので注意が必要です。
売却の際には隣地との境界を明確にしてから売買契約を結ぶことが多くなってきており、買主様から「境界確定」を求められることも割と一般的になってきています。
境界確定には数か月の時間を要することと、費用も高額になるため、ご売却前に境界確定がされているかどうかを確認することをおすすめします。
古くから所有されている土地で確定測量図が無い場合は、境界が確定していない可能性があります。
3.修繕費
不動産は、劣化や損傷があったとしてもそれをきちんと買主様に明示し、それを買主様が了承した上で購入するのであれば何ら問題なく売買することができます。
しかし、一般的には経年劣化や損傷の度合いがひどい場合には修繕いただいてからご売却された方が買主様への印象が良く、スムーズに売却が進むことが多いです。
ですが、そもそも修繕するのか、どこまで修繕するのかの判断は難しいところではあります。
買主様が自身でリフォームする前提で物件を探していたり、売主様が施した修繕が買主様の趣味と合わないなんてことも起こりかねません。
修繕をする代わりに売却価格を下げることも選択肢のひとつとして考えていただいても良いかもしれません。
4.解体費
更地のほうが売りやすい場合や、買い主が建物の解体を希望している場合は、家屋の解体が必要になります。
解体しないまでも、不動産の家屋と敷地内にある不要物を廃棄する場合は別途費用が発生することがあります。
事前に自治体や廃棄物回収業者に費用やスケジュールを確認しておきましょう。
5.譲渡所得税
不動産譲渡税は売却時に発生する費用ではありませんが、売却によって利益がでた場合には確定申告を行い納税する必要があります。
※利益が出なかった場合は税金は発生しません
不動産を売却して得た利益を「譲渡所得」といいます。
そしてこの「譲渡所得」には住民税や所得税、復興特別所得税が課せられます。
これらの税金を総称して「譲渡所得税」と呼びます。
課税対象になる譲渡所得(利益)は、売却金額そのものではなく、さまざまな費用を差し引いた分に対してかかります。
譲渡所得の出し方は、以下のとおりです。
譲渡所得 = 不動産の売却価格 – 取得費用(その不動産を入手したときの費用) – 譲渡費用(売ったときの費用)
また、譲渡所得にかかる税率は売却した物件の所有期間によって変わります。
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対象期間 |
税率 |
短期譲渡所得 |
所有期間5年以下の土地・建物 |
39.63%(所得税 30.63% 、住民税 9%) |
長期譲渡所得 |
所有期間5年を超える土地・建物 |
20.315%(所得税 15.315% 、住民税 5%) |
ただし、「マイホーム」の売却では「3000万円の特別控除」をはじめとする複数の控除制度があるため、よほどの売却益が出ない限り課税はされないと考えていただいて問題ありません。