不動産会社による査定には机上査定と訪問査定の2種類あります。
1.机上査定
文字通り机上で行う簡易的な査定方式です。
”簡易的”とは言いますが日々の不動産取引を行う担当者が近隣の物件情報や過去の成約事例、毎年公表される公示地価、その時々の時事的な背景も鑑みて査定を行いますので、ポータルサイトなどの物件情報などを閲覧して推測する相場価格より圧倒的に精度が高いと言えます。
机上査定の結果は依頼から数日中にメールで送られてくることが多く、同じ内容ですが印刷したものをファイリングして郵送してくれる業者もいます。
営業電話が苦手という方にはメールだけのやり取りも可能です。
2.訪問査定
一方、訪問査定は担当者が実際に現地を訪問して査定を行います。
机上では分からない不動産の実際の状況(状態)、陽当たりや眺望、隣地との関係などを確認します。
同じマンションでも階数や部屋の位置(角部屋など)、リフォーム履歴や使用状況などによって減加算があるため査定額に大きく影響する可能性があります。
土地や戸建ても接道状況や隣地との距離、土地の高低差など実際に現地を見ないと分からないことがとても多くあります。
現地を見ずして正確な査定額など出せるはずがないのです。
また、訪問査定時には担当者と相対することになるため、不安に思っている点や要望を伝えたり、販売方法や査定の根拠など聞くのはもちろんですが、担当者の人となりなどを見定める良い機会になります。
ここまでご覧いただいて「より精度の高い査定が受けられるなら訪問査定だけでよいのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
確かに机上査定は不動産売却にあたって必須の工程ではありません。
しかし机上査定を効果的に使うことで不動産会社を選ぶ際の選択肢を絞ることができます。
つまり机上査定を「一次審査」と位置付けるのです。
訪問査定は室内をくまなく見てもらう必要があるため少なくとも1時間ほどは時間が掛かってしまいます。
複数の不動産会社を訪問査定に呼ぶのであれば何時間にも及ぶことになってしまいます。
日時の調整だけでも一苦労ですし、その都度部屋の掃除をしたり見られたくないものを片付けたりと心労も絶えません。
売却を急ぐ状況でしたらなおさら時間を掛けたくないことでしょう。
机上査定を依頼して、訪問査定をしてもらう不動産会社を2,3社まで絞ることができれば訪問査定もスムーズにこなせるでしょう。
査定依頼は、査定額を知るためのみならず不動産会社の「採用試験」を兼ねていると考え、机上査定と訪問査定を使い分けていただくと良いと思います。