
賃料高騰で需給バランスが崩れたか
一都三県における賃貸住宅の空室不足が、2026年の繁忙期に顕著となりました。
背景には、建築費の高騰による新規供給の減少と、家賃上昇による引越し控えがあるとみられています。
東京都の人口増加と、追いつかない供給
総務省「住民基本台帳人口移動報告(2025年)」によると、2025年の転入超過数は東京都で6万5219人。
つまり、東京都だけで6万5000人超の人口純増が生じたことになります。
一方、ワンルームタイプの住戸の新規供給数は約1万戸にとどまっており、人口流入のペースに対して明らかに不足しています。
神奈川・埼玉・千葉といった近接エリアでも、都内への通勤需要に支えられた賃貸需要は根強く、一都三県全体で需給の逼迫が進んでいます。
ワンルーム条例が供給を抑制している
こうした供給不足の一因として、「ワンルーム条例」の存在が挙げられています。
ワンルーム条例とは、2000年代初頭から東京都を中心に各区や政令指定都市で順次定められた賃貸・分譲マンションの建築制限です。代表的な規定として、専有面積25m²以上の確保や、一定割合のファミリー向け住戸の設置義務などがあります。
1戸あたり25m²以上を確保したワンルームは、従来の投資計画と比べて収益性が低下します。
収益性の低下は新規開発の意欲を削ぎ、供給数の減少につながる──この構造が、需給ギャップの拡大に拍車をかけている可能性があります。
家賃の値上がりが「動かない入居者」を生む
流通物件数が減少している別の要因として、家賃の値上がりも見逃せません。
ファミリー向け物件では最大3万円の賃料上昇が見られ、住み替え先の家賃が現在の契約賃料を上回るケースが増加しています。
その結果、転居コストを嫌い、現在の住居に住み続ける選択をする人が増えており、退去件数が減少し市場への物件供給がさらに細るという循環が生まれています。
新築不足が賃貸市場に波及
建築費の高騰は、新築戸建て・マンションの供給量減少にも直結しています。
本来であれば持ち家取得へと移行するはずだった層が賃貸契約の継続を選択するケースが増えており、これが賃貸市場における需要の下支えとなり、さらなる空室不足を招く一因となっています。
まとめ
新規供給の不足、ワンルーム条例による開発意欲の低下、家賃高騰による住み替え控え──これらが複合的に絡み合い、2026年の繁忙期は一都三県において仲介できる空室が極端に少ない状況が続いています。
一昨年・昨年と比べても、空室不足は体感としても明らかに深刻化しています。
この需給の歪みが短期的に解消される見込みは薄く、今後も市場の動向を注視していく必要があります。






